第4期ビジョンづくり委員会
「会社に所属する満足感について」考えよう 第2ステージ
林文子さん著「一生懸命って素敵なこと」を読んで
―読書感想ダイジェスト―








林 文子 
1946年 東京都生まれ。都立青山高等学校卒業。東レ、松下電器産業勤務の後、'77年ホンダの販売店に入社、トップセールスを達成。'87年BMW(株)入社。'93年新宿支店長、'98年中央支店長に就任。いずれも最優秀支店に。在任中フォルクスワーゲングループにスカウトされ、'99年直営であるファーレン東京(株)代表取締役社長就任。4年間で売り上げを倍増させる。'03年BMW東京(株)代表取締役社長就任。'05年5月(株)ダイエー代表取締役会長兼CEO就任。




 著者は高校卒業後一般企業に入社しOLを経て、クルマの営業に転身します。一軒一軒の家を尋ね回る飛び込み営業を経て、日々の努力を積み重ねた結果、トップセールスマンとなります。その後、28年間働いてきたクルマ業界を飛び出し、それまでとは全く異なるダイエーの代表取締役会長兼CEOを務めるまでになりました。その心の中にあるものは、何か? それは、「人が好き」という熱い思いが著者を支えたのです。この本から、お客様との接し方、仕事に対する喜び、上司と部下の関係、人の育て方など、誰しも一度は考える課題を通じて、女性ならではの視点と感性で分かりやすく著者の生き方が紹介されます。


この本を読み終えて、著者本人の「おもてなしの精神」について一番印象に残った。
仕事をうまくこなしたい、いい業績を得たい、売上を上げたい、その目標を達成するために売り手はお客様本位という精神を忘れてしまう。目の前のお客様をどうにかして説得させる、そして売上を得たい、そのような気持ちだけで接するとその場だけのお金を仲介した売り手、買い手の関係で終わってしまう。買い手はもちろんのこと、売り手も一時的な喜びを感じるが仕事に対するやりがいを持てないと思う。この本は、結果ではなく、そこに至るまでのプロセスの大切さが書かれている。お客様を幸せにすること、そのためには売り手も幸せな気持ちでなければならない。ダイエーでは従業員トイレの改修工事、BMWでは営業時間の短縮等具体的な政策を行っている。お互いがハッピーな気持ちで接することができる環境を作ること、そこで初めて損得を考えずに人間同士の付き合いがうまれてくる。そして数字は後から付いてくる。著者自身、何度も転職し、色々な環境で精一杯努力し、時には1日100軒家を訪問したり、早朝から深夜まで寝る間を惜しんで働き、このようなおもてなしの精神を得たことに関心を持ちました。
複数の業種にわたり仕事をしてきた筆者の経験を読んだ中で、業種に関係なく、やはり営業というのは最後は人間が相手なのだから、いかに自分を相手に売り込むのか、いかに相手に気に入ってもらうようにするのか、ということが最も重要なのだと改めて感じた。
全体を通して、仕事をしている筆者がものすごく楽しそうに感じました。とにかく筆者は人間好きなのだということが、よくわかりました。自分なりに楽しんで仕事をすることが大切であると感じました。
CSの前にESあり、社員がへとへとに疲れていてお客様を満足させることができるだろうか、という言葉も印象的です。へとへとに疲れていないように、生活を変えていこうと思いました。
“「報・連・相」は上司から部下にも行う。”ことが一番印象的でした。
読んでみればなるほどと思ったわけですが、恥ずかしながらこれまで仕事をしてきて一度もそのような発想を持ったことがありませんでした。
入社してこれまでを振り返ると、確かにそのような状況になった時には、上司からの信頼感や、自分の責任感を改めて感じ、単純ですがより一層頑張る気持ちになることが多かったと思います。
この本を読んで、女性という社会的なハンデを持ちながら、仕事に対して懸命にがんばってこられた林さんの行動に多々感銘を受けました。特に仕事に対する思い入れ、取り組みに対しては、私自身考えさせられる部分がありました。林さんは、仕事を行うにあたり、先ずは顧客を大切にし、従業員を大切にされてきました。商品を売ることを第一とせず、先ずは、顧客の心をつかみ、一人の人間として相手に接していく。その行動によって相手と信頼関係が生まれ、結果として販売成績はグンとアップする。また、職場環境の向上、従業員を大切にすることによって、一人ひとりにやる気を与え、成績アップにつなげていく。林さんは女性というハンデをプラスに変え、女性が持っている感受性・包容力等を武器に、仕事の本質を見抜き、経営トップまで登りつめた。この林さんの行動に対し、非常に刺激を受けました。
林さんの「人」に対する接し方、心遣い、前向きさが心に残りました。「ご縁があって出会った人に、今このひと時、5分でも10分でもこの人のためになりたい。楽しい気持ちでお別れしたい。こういうことを一生懸命、毎日やっていけばいいのだ。」という言葉に林さんの信念が集約されている気がしました。
ホンダ・BMWでトップセールスを挙げ、フォルクスワーゲンやダイエーのトップになった方、というすごいキャリアから、私なんかとは思考も行動も全然違うはず、思って読み始めましたが、共感して思わず線を引いた言葉がたくさんありました。
それら一つ一つは、全く難しい経営理論でも何でもなく、本当に当たり前というか、まっとうなことなのですが、5万人もの企業のトップの方が、こんなに純粋な気持ちを持ち続けているということに素直に感動しましたし、私のほうが初心に帰れたような気がしました。
人を好き(自分も他人も)になること。私は人付き合いが苦手であり、率先してコミュニケーションをとることはありません。また相手の嫌な部分を見つけてしまうとその部分ばかりが気になり、ほかの部分が見えなくなり、その人を苦手になる傾向があります。
しかし林さんは相手を問わず心を込めて接し、人に喜んでもらうことを懸命にされてこられました。だから多くの人に支持されてきたのだと思いました。
“相手に魅力があったらちょっと忙しいときに電話がかかってきても話をするのがうれしい”とありましたが、本当にそのとおりだと思いました。 
好きな人だけに対してでなく、苦手な相手に対しても良いところを見つけ、その部分を褒め、更に伸ばすようにしていこうとする姿勢に感動しました。
上司対自分、後輩対自分、お客様対自分、自分対自分、と、人と人との繋がりを何よりも大切にし、誠実さ、思いやり、心から、という態度をいつも忘れずに仕事とひたむきに向き合っている姿が印象に残っています。
人との接し方は常日頃気をつけてはいますが、どうしてもその日の気分というものが態度に出てしまうことがあります。反省する毎日ですが、反省するよりも、人と接することそのものを楽しむことを心がけることが大切だなと感じました。